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2013年3月28日 (木)

『錯覚』

心理学の言葉に『パレイドリア』というのがある。これは錯覚の一種で、『雲がソフトクリームの形に見える』な~んていうあれである。 

この錯覚は、かなり心理的な影響が大きく、ソフトクリームが好きな人には、そう見えやすい。ビビってる人には、ススキが幽霊に見えやすい。そして、街中で他人が恋人に見えてしまう。 

 僕がマジックを始めた頃は、マジック関連の情報が今と比べると非常に少なかった。 金澤には『東陽マジック』というショップがあり、デパートに出店もあったので、恵まれている方だったが、それでも、レクチャービデオもほとんどなく、書籍も少なかったので、いつも情報を求め彷徨っていた。

そうすると、色んなものがマジック関連のものに見えてくるのである。 書店の趣味コーナーに少しマジック関係の本があったが、5,6冊あれば良い方で、しかも殆どは初心者向け子供向けのものばかり。 それ以外の書架に獲物がないか探っていると、題名の『手芸』を『手品』と勘違いするし、『とっくり』は『トリック』に見えてくる。 なんでも、好きなものに結びつけて錯覚が起きるのである。

 『コンプレックス(感情複合体)』という概念があるが、一般の人は主に『劣等コンプレックス』のことだけを問題にしている。すなわち、「劣等感を感じてるものと、少しでも共通部分があると、意味もなくそれに対しても劣等感を感じる」というもの。 

これには劣等~以外にも、色々な感情とコンプレックスを形成する。ロリータコンプレックスやマザーコンプレックスは有名だが、性的なもの以外でも、憎しみのコンプレックスはよく起こる。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」っていうあれである。 

当然、ネガティブなコンプレックスだけでなく、『好き』という感情にもコンプレックスは成立する。これがまた、こまった『錯覚』を生む。 

若いマジシャンに対して『マジックで受けても、もてているわけじゃない』という格言がある。 受けるということは、お客さんは演技内容に好感を持っているわけだが、その場合、「マジックの現象に好感を持っている場合」と、「演じているマジシャンごと好感を持っている場合」がある、 

プロならば後者でなくてはならないのだが、アマチュアがマジックを見せる場合、『面白いパズルの提示』程度のスタンスの場合が多く、受けても、それは「パズル、面白~い」的な盛り上がりだけで、その意識にマジシャンが全く介在していないことすら多い。

考えてみると、これはマジックにだけ起こる現象で、例えば宴会の一発芸のようなことをして見せても、そこには強烈に演じた人のキャラクターというものがアピールされる。 

しかし、若い(もてたくてやってる)マジシャンは、持っていったパズルに好感を持たれてるのに、自分に好感を抱かれていると勘違いしがちなのである。とても危険である。 

しかも、上記の『好き好きコンプレックス』が加わる。 要するに・・・自分が愛して止まない『マジック』を好きになってくれてる彼女は、マジックと同様に素晴らしい存在であり、僕がマジックを好きなのと同様に、僕はマジック好きな彼女のことも大好き・・・という、錯覚に満ち満ちた感情が若き僕・・・いや、若き、とあるマジシャンにあふれるのである。

ホント、危ない。 マジックで騙すことなんて比じゃない位、この罠は危険で強力である。 ここを読んでくれている、若いマジシャンの皆さん、今すぐに目を覚ましなさい!!

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コメント

ブログを拝見して私もおなじようなことを感じていました。

私がマジックを始めたきっかけはとあるマジック特集でした。
当時若かったこともあり、初めは周りが注目してチヤホヤしてくれました。
しかししばらくすると、本当の自分がマジックをやっている原因は真の自分を見られるのが怖い&心を隠したまま自己愛を満たせる、傷つかず人に取り入るためだと気がつきました。
マジックは現象自体が持っている本来の凄さが自らの能力の凄さだと『錯覚』させやすい劇薬でもあります、使い方を誤るとさらに自己愛が強くなり誇大自己をさらに拡大させていきます。
下手すれば自己イメージと現実が大きく歪曲していきます。

手品をやっている人はそういう人も多いと思います。
自分では気がついていない人orそれに気が付きたくないひとがどれほど多いことか…。
ゆえにマジックは上手だけどコミュニケーション能力が低い人が多い業界なのだと思います。
このような歪んだ自己愛への錯覚は、cullさんのおっしゃるように自らに次々と目に見えない罠をしかけることになります。


投稿: ちぐまや | 2013年3月29日 (金) 11時59分

ちぐまやさん、こんにちは。

僕のふざけたコラムに、深く鋭い考察をありがとうございます。反省材料になります。

確かに、そういう面ってありますね。

マジックは不思議さを追求する芸能であり、アマチュアにとっては、それが最優先課題であっても問題はないのですが、とは言え、見せられるお客さんにとっては、一芸能。 
単なる不思議自慢にならぬよう、楽しさを共有できるように努力すべきです。

そして、他人に見せた時点で自己表現の一種であるわけで、自分という個性がマジックという形式を使って表現していることを意識すべきですよね。

投稿: | 2013年3月29日 (金) 15時39分

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