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2016年11月28日 (月)

Coin Box Routine

https://www.youtube.com/watch?v=OX9ktyVy6h8

この手順は、大学時代から愛用しているものなので、30年近くになりますが、かと言って、日常的にコインボックスを披露する、などということもなく、年間数回披露すればいい方、という程度で、とても『やり込んでいる』という域ではありません。 実際、角度に弱い部分があったり、現象がちいさいので、Magi・CULL Sundayで満席状態などでは端の方の席の人には不向きなので、見せる機会も限られます。 とは言え、好きな方法なので、一人で時々思い出しては練習している、ペット・シークレットの一つではあります。

現象は・・・  

コインボックと、3枚の銀貨と、1枚のチャイニーズコインを使います。

銀貨とチャイニーズをボックスにしまい、おまじないを掛けると、1枚の銀貨が見えない飛行をして握った手から出てきます。続けざまにもう1枚出てきます。 ボックスを開けると、確かにチャイニーズと銀貨は1枚だけに。 銀貨とチャイニーズをボックスに戻し、ボックス上でおまじないを掛けると、ボックスの蓋の上から銀貨が飛び出してきます。 ボックスにはチャイニーズしか残っていません。 

今度はチャイニーズだけボックスに入れて蓋をします。1枚の銀貨が手から消え、ボックスの中から出てきます。もう1枚の銀貨も消えて、ボックスからチャイニーズと銀貨2枚が出てきます。 今度は蓋は使わず、3枚の上にボックスを逆さまにしてかぶせます。最後の1枚の銀貨は消え、ボックスをどけると、チャイニーズと銀貨2枚しかありません。 置いたあった蓋をどけると、その下から1枚現れます。 

3枚の銀貨をボックスに入れ蓋をします。残ったチャイニーズを指先に持っておまじないを掛け、チャイニーズを握るといきなり3枚の銀貨も一緒に現れ、ボックスは空になっています。

この手順は、巨匠David Roth氏のOut In Out (Expert Coin Magic ,p.228)がベースになっており、彼が販売していた“Slit Box”と言うGimmick Boxを使用し、難しい“Spill Out Move”を排除したものです。 

冒頭の、ある種の“Two Ahead theory”による連続2枚の飛行は、とても好きで、同じ原理を、愛用している“Coins Across”でも使用しています。(これは、Geoff Lattaのハンドリングからの借用。)  

 

こういう連続した現象において、第1段目というものは、どんな方法を使っても、大きな驚きが起きるもので、それほど凝った方法は使うべきではないと考えます。しかし、その後の現象は、客に何が起こるのか知られているため、別法、あるいはより巧妙な方法を取らなくてはなりません。 ところが、この方法は、2段目では、何もしなくても現象が起こるわけです。これは、非常に賢くずるいやり口です。 

 

私は更に、この『なにもやっていない感』を強めるために、1枚目が出た後、両手を改めつつ、2枚目を準備するわけですが、ここで通常使われるDavid Roth Shuttle Passの部分にDanny Korem's Jumping Shuttle Pass(Korem without Limits,p.15)を導入しています。 割と使われていないテクニックで、見ている分には、残像効果で、「左手の1枚を右手に落とした」ようにしか見えないと思います。

そして、3枚目のボックスからの脱出です。 このような、シンプルな現象の連続は、余程不思議じゃない限り、飽きるし、演出的にも盛り上がりに欠けます。ここで私は、John Carney's Neato-Okito(不思議Vol.2,No.7,p.12)で使われている、Musucle Passを使った出現を採用しました。 手の中に見えない飛行をすると「最初から持っていたんだろう」と思われますが、この方法なら、より直接的に「ボックスから飛び出している」という現象が強調できます。

次はコインが入っていく現象が続きます。1枚が消えて、ボックスから出ます。次に、David Roth's Scoop Up Add Underを原案通り使っているのですが、これはRoth本人の演技を見ても良いとは思えませんし、もっと他に良い方法があると思っている部分です。

そして、2枚がボックスに飛行し、最後の1枚で、上記のように演出を変えます。ある種“sucker trick”となっています。 

この段では、コインの消し方にも工夫があります。前2回は、Fake Passによる方法で、どれだけ上手でも、「実際渡していない」と感づかれれば、興味は削がれます。そこで、ここでは「本当に左手に手渡し握る」という手法が取り入れられます。ここで、勘づいている客の興味は高まります。客が思っている方法でいくと、これが消えるのは不可能だからです。 これは“One Ahead Theory”の成せる技ですね。しかも、既に飛行するべきDuplicateとなる1枚は、ボックスの下ではなく、1段前の、ボックスに2枚目が移ったことを見せるタイミングで蓋の下にロードされるわけで、これは気づかれるハズはありません。それだけではなく、3枚目において、左手に1枚握る動作は公明正大で、しかも、1枚蓋の下に処理されているので、逆さにしたボックスの下も明らかにチャイニーズと銀貨2枚しかないことがわかるので、その後の現象が極めて不可能性が高まり、興味がいや増すわけです。

そして、現象としては、今回は絶対に飛行しないはずなので、緊張が高まりますが、本当に飛行しません。そして・・・全然関係ないところから出てきます。これ自身は不思議ですが、ある意味失敗です。そして、緊張状態が突如緩和され、笑いが生まれます。 どうしても、挑戦的だったり、短調だったりしがちなコインマジックですが、演出の妙により、メリハリも効いて、とても良い『流れ』だと思います。

ここで、多くの客は現象が終了したと思っています。ここで、銀貨をボックスに戻す振りをして、David Rothの方法のヴァリエーションを行います。彼は「複数枚をボックスに入れたように見せて、スチールしてくる方法」をいくつか開発していて、その中の2番目の方法と似た方法を使うのですが、持つ位置を少々変えています。両手の影で3枚をボックスに入れたフリをしつつ、実際はエッジの上に落として音を立てます。そして、続けざまに、この3枚を右手のEdge Palmにダイレクトに取ってしまうのです。 ダイレクトに取るので、特に持ち替えなどの怪しい動作はなく、そのまま、蓋を取り上げボックスにかぶせ、パームした手の指先でチャイニーズをつまんで、それしか持っていなようように見せられますし、なんと言っても、客は「終わった」と思っているので隙だらけで、それほどこの作業は難しいものでもありません。

クライマックスはDavid Roth Hanging Coinのいいとこ取りです。 

実のところ、この奇術をMagi・CULL Sundayであまり演じないのは、Hanging Coinを頻繁に演じているので、クライマックスが同じになってしまうからです。かと言って、他に良い方法を思いつかないので、今の所課題として保留しています。

そして、最後に、ボックスを開けて、空なのを見せ、両方の指先に乗せて当てて「チーン」と音を立てます。 これは、終わったことを示す区切りにもなりますし、なんとなく、仏教的な雰囲気も漂い、その裏では、澄んだ音を立てることで、ボックスが二重になっていたりしない証明にもなっています。

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