2009年6月26日 (金)

『 指輪 』

クロースアップマジックでは、指輪という素材もよく使われます。

Ring_for_magic_2
一番沢山の作品が発表されているのは“Ring on Cord”です。 紐に指輪を通し、端を通さずに抜き取る、というもの。 指輪は小さいですが、この現象ならシンプルなので離れていてもよく見え、わかりやすいので、観客を選ばず受ける演目です。私も、この現象が大好きで色々な方法を愛用しています。ただ抜けたり入ったりだけでは「落ち」がないので、クライマックスとして“Ring Flight”を行うこともあります。 これは指輪が消え、ヒップポケットのキーケースのフックに掛かった状態で出てくるもの。 
その他、“Linking Finger Ring(Himber Ring)”という、お客さんの指輪3本で行う連結現象、“Ring & Rubber Band” 指輪が輪ゴムと連結する。“Ring on Wand” 木の棒に通した指輪が外れる、などといった現象が有名。 
Jerry Mentzer著“Magic with Finger Ring”という、この手の奇術の集大成があります。

数年前に米国のGarrett Thomasが“Ring Thing”という作品を発表し、一時世界を席巻しました。現象は・・・指からリングを抜き取り、放り投げると消え、伸ばしている指にいきなりはまった状態で現れます。 非常に強烈な印象で、私も愛用しています。

私が現在一番多く演じているのはDe'Vo Vom Schattenreich’s“De' Ring”というものです。 「指先に持った指輪が、一瞬で薬指の奥にはまっている」という現象。 現象自体は以前からあるのですが、これの特徴は、やたらに早いことと、指輪が「キツキツ」でお客さんに抜いてもらおうとしても、そう簡単に抜けないサイズなのです。 普段はめている指輪で、いつでもどこでも演じることができ、一瞬で終わるので、非常に重宝ですし、気軽にやっている割にはインパクトが大きいようでリクエストが掛かることが多いペット・トリックです。

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2008年10月23日 (木)

『 マッチ 』

カード、コインをClose-Up Magicの両巨頭とすると、その後に続くものは・・・いっぱいある、ということになります(笑)

そんな中で、身近な道具で、作品数が多く、現象もバラエティーに富んでいるアイテムというと・・・マッチがあります。

マッチの奇術は当然マッチ発明以降ですから、それほど古くは無いのですが、世界中で殆んど同じ形のものが使われており、安価で入手しやすいことから、たくさんの奇術が生まれました。

Matchies マッチ棒を使うものだけでなく、マッチ箱を使うもの、ペーパーマッチを使うものもあり、それぞれ色々なデザインがあるので、現象も豊富です。

道具が小さいので、実際のショーでこれが主役になることはありませんが、ちょっとした珈琲ブレイクで披露するには打ってつけのアイテムです。

僕がよく演じるマッチの奇術は・・・

“Match Penetration”(マッチ棒が別のマッチ棒を溶けるように通過する)  “Clear Deception”(マッチ箱の引き出しを押し込むと、別の箱の引き出しが飛び出す)  “Match Tricks”(マッチ棒をポケットにしまうが、何度も手に戻ってくる)  “Match Stickler”(ペーパーマッチを1本ちぎり、火をつけ吹き消すと、棒が消え、焦げたマッチがケースに戻っている)  “Bill in Matich Box”(サインされたお札が、お客さんが持っているマッチ箱から出てくる)  “Animated Match Box”(手の甲に乗せたマッチ箱が、自分で立ち上がる) ・・・・

キュートでなかなか良い奇術ばかりです。 喫茶店や飲んでいる席で取り出しても違和感無く、お店にあるものでも出来るところが強みです。 ただ、最近は禁煙のため、お店でもマッチが無いところが増えてきました。 僕は10数年前喫煙をやめたのですが、マッチがなくなるのはちょっと寂しい。

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2008年10月 3日 (金)

『 コイン 』

クロースアップ・マジックで、カードの次に出番が多いのはコインでしょう。

カードの項で書いたように、マジシャンが標準的に使用する道具、というものがあります。 コインの場合は、アメリカのハーフ・ダラー(50セント銀貨)です。 Coin

これは海外の見慣れぬ硬貨であり、しかも、現時点で米国本土でもほとんど使われない『古銭』に近いのです。 しかし、大きさが丁度良く、見栄えもするし、比較的安価であることから、世界中のマジシャンが愛用しています。
特に、1964年のものだけなぜか銀の含有量が多く、色合いも音も良いので、この年度発行のものが好まれます。

本質的には、見慣れた日本の硬貨で行った方が自然ですし、不思議さも強調されますが、如何せん、最大で500円玉ですが、色も黄色っぽく、舞台栄えがしません。 それに、もし日本の硬貨を使うなら、マジシャンが用意したものではなく、お客さんから借りなければ不思議さを強める意味にはなりません。 実際、500円玉を4枚借りることが困難な場合も多いのです。

これらの理由で、日本のマジシャンもハーフ・ダラーをよく使います。 

コインは、カードよりシンプルな現象が多く、あまりしゃべらず、優雅な動きで不思議を見せる、といった趣があり、特に女性のお客さんに人気が高いように思われます。

これは意外と知られていませんが、シンプルなだけに、カードマジックより数段難しいのです。
勿論、カードマジックにも難しいものもありますが、簡単なものもたくさんあります。
しかし、コインマジックで簡単なものはほとんどありません。

だから、上手なコインマジックをご覧になったとしたら、そのマジシャンは相当な腕前だと思われます。 是非、いつもより沢山の拍手をしてあげてください。

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2008年10月 1日 (水)

『 カード 』 その2

「ポーカーサイズが多く使われる」と前回書きましたが、それはここ20年ほどのことで、僕が高校生のころまで、日本ではブリッジサイズが標準的で、当時流行った商品のパケットトリック(数枚のカードだけで行うマジック)も、大部分は『キャラバン』というブランド(←米国ではなぜかエービエーター Aviatorという別名です)が使われていました。 今でもヨーロッパのマジシャンは、自国の色々なカードを使っています。

しかし、マジシャンは必ず『紙製』のカードを使います。 日本では上質のプラスティックトランプが普及していますが、海外ではほとんど見られません。なぜなら、カードは『使い捨てるもの』だからです。というのも、古くなってくると、必ずカードに傷が付き、裏からカードの判別が可能になり、命を掛けるようなギャンブルには絶対使えないのです。 プラスティック製は長持ちするので、そう言った意味で矛盾した存在です。

また、圧倒的に紙製の方が扱いやすいのです。 世界の全てのカジノで紙製が使われていることが、それを証明しています。

さて、前述の『バイシクル Bicycle』について少々書きましょう。 まず、このカードは単純に言うと『3枚の厚紙を貼り合わせて』作られています。(実際はさらに表面に樹脂加工してあります。) なぜ、こんなに複雑なことになっているのでしょう? それは、紙には必ず『目』があります。これによって、湿度が加わると一定方向に反るのです。反ると非常に困ります。そこで、目が『互い違いになるように』3枚を貼り合わせて、反らないようにしてあるのです。
Peeled_card 写真を見てください。 真ん中の紙が黒っぽいのが分るでしょう。これによって、透かしても裏から何のカードか分らないようにしてあります。

ちなみに、3枚に剥がしてありますが、これは“Card Peeling”というテクニックです。 オリジナルマジックを作成するマジシャンには知られた技法ですが、結構難しいのです。僕は、それを簡単に行う方法を考案し、発表してあります。(東京堂出版『魅惑のトリックカード・マジック』松田道弘著 P.22 トリックカードを自分で作る方法。 “Adhesive Tape Card Peeling”)ご興味のある方は、書店で探してみてください。

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2008年9月30日 (火)

『 カード 』 その1

 僕のやっているクロースアップ・マジックという分野で、一番よく使われる道具は、間違いなく『カード』でしょう。 

 日本語で『トランプ』と呼ばれていますが、これは日本でしか使わない用語で、世界的にはカード(Playing Card)と呼び、マジックの世界でもこう呼ばれます。 ですから、海外でトランプと言っても、全く通じませんのでご注意を。

 ちなみに、なぜ日本だけで『トランプ』と呼ばれているかと言うと ・・・ 江戸時代長崎の出島のポルトガル人がカードゲームをするときに、切り札の意味で『トランプ』という言葉をよく発しており、周りで聞いていた日本人が、これをゲームの名前だと思った・・・ というのが通説です。そして、江戸時代の日本人の恥ずかしい逸話の1つとして語られています。

 しかし、本当でしょうか? いくらオランダ語が分らなくても、途中で言っている単語を、その道具の名前だなんて思うでしょうか? そんなことが言えるなら、例えば、サッカーはゴールだし、麻雀はリーチになったりします。 多分、そんなことではなく、単に周りの日本人同士で、それが道具の名前ではないことは重々承知していながら、なんという道具か分らないので、通称として『トランプ』を使っていたら、それが流布してしまった・・といったところが、ことの真相だと思います。Bicycle_blue_red

  世界中のマジシャンたちに愛用されているカードは、US Playing Card Co. のBicycleというブランドです。 これには2つのサイズがあります。ポーカーサイズとブリッジサイズ。ブリッジサイズは日本で普及しているプラスティックトランプなどと同じサイズで、ポーカーサイズより幅が数mm狭いのです。多分、手の小さな日本人にはこの方が使いやすいからでしょう。

Cards  マジシャンはBicycleのポーカーサイズ、その中のRider Backという裏模様の青、赤色を愛用しています。  なぜポーカーサイズを使うかというと、多分、大きい方が現象が観易いということと、一番入手し易いからだと思います。 実際、海外のコンビニなどで売られているのはこのカードです。だから、他より安価でもあります。 そして、このカードを使うことは、世界中のマジシャンにとって、ある種の基本事項のように捉えられています。 裏事情ですが、ほとんどのトリックカードも、このデザインが使われています。

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