2019年10月29日 (火)

『マジシャンなんですか!』 の話。

お店で飲んでいるとマジシャンであることを名乗ることがよくあります。

私が出入りしている狭いテリトリーの中では、マジシャンであることはかなり知られており、大概芸名で “CULLさん” と呼ばれています。

そんな状況で、初対面の人に私がマジシャンだと名乗ると、周囲にいる知人達が、かなり興味深く見てくるのがわかります。なんなら、会話が止まります。多分、みんなは、その人がどんな反応を示すか楽しみにしているんだと思われます。

実際『生マジシャン』に舞台以外で出会うことは少ないわけで、隣で一緒に飲んでる状況はかなり珍しく、となると、「手品できるんですか?」的な反応や「ホントですか~?」みたいな懐疑的なリアクションが得られる可能性が高そうに感じます。 

そうなると、周りで飲んでる、私のマジックを見たことがある人々は心の中で「この人、ホントのマジシャンで、あんたが思ってる何倍も凄いぞ。 兄貴、この小娘に凄いマジックぶちかましちゃって下さいよ!」みたいな気持ちが駆け巡ることが想像できます。そーなると、こちらとしてもちょっと嬉しいし、テンションも上がり、マジック披露してサービスしようかという気にもなります。

 

しかーし・・・ 意外とそーゆーことにはならないのです。 実際にマジシャンだと名乗った時点で、「2つほど手品が出来るおじさん」レベルではないことはわかるわけで、また私の風貌から「マジシャンと言っても、恋のマジシャンと呼ばれているだけですよ、お嬢さん」なんてクソみたいなことは言いそうもないので、案外あっさりとマジシャンであることが受け入れられてしまうのです。

なので、大体名乗ると「えー! そーなんですかー? 凄いですね~!!」というリアクションが返ってきます。 上記のようなことを若干期待しているので、正直・・・つまらん(^_^;)  それと同時に、私のマジックを見てもいないのに「凄いですね」と言われるのも少々心外。

もしかすると「恥ずかしげも無く『マジシャン』だなんて自己紹介してくる態度が凄いですね~」って意味だったりして😭

 

 

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2015年12月 8日 (火)

『スペード・ハート』

以前から、Magi・CULL Sundayでは、突き出しに、「ハート柄の赤ピーマンのマリネ」をお出ししてたのですが、中年男性のお客様には、勘違いされないよう 「あ、愛をこめて・・とかいう意味じゃなく、あくまでも『トランプの柄』ですから。」 と言い添えてました(^_^;)

マジックバーなので、それにちなんだ『なにか』を出したかったので、手間はかかりますが、それなりに好評で、それの写真を撮影される方も大勢います。 一見ピーマンに見えず、素材当てなどすることもあり、そのトリッキーなところもマジックっぽいところ。

以前から、他のトランプ柄も導入した方が面白い、とは思っていたのですが、ダイアモンドではつまらないし、スペードかクラブなのですが、実現する方法を模索していました。

最近方法を思いつき、数週前からお出ししています。 黒い部分は『タプナード』と言って、黒オリーブ、ケイパーなどをミキサーに掛けた、有名なペーストです。

Photoこれを作ることは容易で、日持ちするので良いのですが、スペード型にするのに結構手間が掛かります。特に大人数様同時に出すのは困難。

という訳で、ご予約頂いた場合、直前に人数分作成してお待ちしていま。段々慣れてきましたが、いつも満足できる形になるわけでもなく。Photo_2


ところが! 全く柄を見ずに、パクリと口に放り込む方もいらっしゃるので、結局、お出しすると同時に「トランプ柄です。」と言ってます。すると、気付いて撮影が(笑) ただ、ハートだけじゃないので、以前のように「愛をこめてじゃない」みたいなことは言わなくて良くなりました。

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『飲み物の話』

マジックとは関係ない話なのですが・・・

毎週営業している、マジックバー Magi・CULL Sundayは、基本 「飲み屋」 なので、ソフトドリンクは、辛口ジンジャーエールしかありません。

当店は日曜丸1日借りているので、小さなお子様連れのお客様には、時折、夕方営業もしております。 そんな時、辛口ジンジャーエールはあまり適した飲み物ではないので(^_^;)、予め希望される飲み物を聞いておいて、準備しているのですが・・・・・・・

オレンジジュースと、烏龍茶でも用意して「それ以外ありません」と言っても良いですが、折角なら、好みの飲み物を飲みながら、マジックを楽しんでいただきたい。 で、今までにあったオーダー、結構『難題』が多いのです。 あ、これはお客様を批判しようと言うのでは、決してありません。 最後にその趣旨を書きます。

基本的に冷蔵庫の空きスペースが狭く、私は日曜だけ借りているので、入れた飲み物は全て撤収しなくてはならないので、その日のためだけに大量多種に準備することはできませんし、実際、子供たちはマジックに夢中で、殆ど飲み物を飲みません。ビールなら何杯も飲んでも、オレンジジュース3杯飲む人もいないわけで・・・・

あるお客様に事前に聞いたところ、「では、ぶどうジュースを用意してください」と。ぶどうと言っても、赤いものも、マスカットの白いものもあり、本当に来られる4名のお子さん皆さんがそれを欲しているのか非常に疑問でした。結局、皆さん飲まれていました。

また「コーラとファンタとオレンジジュースがあればいいです」とも。 上記の理由で、そんなに準備はできません。しかも、ファンタ・・・ホントにお子さんが言ったのでしょうか?返事はお父様からなので、なんとなく昭和の香りのする返答(^_^;) ちなみにファンタは20種類以上あります(´;ω;`) 結局、コーラとオレンジジュースを準備し、なんとかなりました。

「二人共、りんごジュースがいいと言ってます」と。 実はりんごジュースもクリアなものと濁っているものがあり、どちらかしか飲まない、という人も多いのですが、その2人のために両方準備はできません。この日は、小岩井のジュースを準備しました。これは、基本半透明で、振ると濁るのです。 お二人共、グラスの半分を2時間ほどかけて飲まれました。

と、本当に色々なパターンがあるのですが、オーダーされる親御さんは、子供たちが普段よく飲むものを言っておられるのでしょう。 これを考えると、家族それぞれのスタンダードって、ホント違うもんだなぁ、と感じます。

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2015年6月 2日 (火)

『噂話』

時々、一人で飲んでいると、お店にいるお客さんで、僕のことに気づく人がいらっしゃいます。

それほど親しくない場合、すぐに僕に声は掛けないけど、それとなく『知ってるアピール』がしたいのか、連れの人に「あの人知ってる? CULLさんっていうマジシャンなの!」って感じで話し出します。

こういう内容って、選択的に耳に入りますよね。すごく離れてて小さな声でも。(これを心理学の世界で『選択的透過性』と呼びます。雑踏でも自分の名前だけ聞こえる、みたいな効果。)

さて、僕も十分おじさんなので、余裕をかまして聞こえないふりをするわけです。 話が盛り上がって、噂してるのがタイプの女性だったりすれば、すぐにでもマジックの3つや4つ披露する気持ちは満々なのですが・・・(笑)

そして、少し聞いていると、往々にして次のような話の流れになるのです。要するに連れの人はCULLを知らず、「オーラの欠如したおっさん」程度にしか見えてないので、話しだした彼女に対して「フーン」程度の最低リアクションしか示さないわけです。 すると、出来ればCULLさんに、ここでマジック見せてもらえればラッキーと思っていた彼女は、悔しさも湧き「いやいやいや、貴女が想像してる10倍は凄いマジシャンよ」的なことを言い出すわけです。

ハードルが上がります。ここで下手打つと、僕に好意を持ってくれてたタイプの彼女の気持ちも去っていきます。 

謎を残したまま「マスター、お勘定」と言って、去り際に、さらっと名刺に火をつけて彼女達に渡し「今度、どこかでお会いしたら、声を掛けてくださいね。」と言って店を出るわけです。

・・・ね、いやらしいでしょう(笑)

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2013年9月27日 (金)

CULLのバースデイ

9月29日はCULLの誕生日で、偶然日曜日なので、マジックバー Magi・CULL Sundaの営業日です。

というわけで、その日は、ウエルカムドリンク サービスさせて頂きます。

既に、数組のお客様の予約は頂いておりますが、まだお席に余裕がございます。

皆様で、楽しい夜を過ごしましょう!

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2013年7月20日 (土)

『触られる話』

 

マジックバーの舞台は『カウンター上』であり、お客様との距離が異常に近いわけです。

 

女性は『異性の手』に興味を持つ人が多い、と聞きます。 

手入れされたマジシャンの手で、流れるようなマジックを見せられると、(それがマジックでなくとも)、動きだけで魅せられる部分があるとのこと。 

という訳で、女性酔客に手を触られることが多いのです。 「トランプに仕掛けがないか改めてください」と言っても、トランプを持ってる手の方をベタベタ触られることも(汗)

 

いや、その触られる話ではなく・・・

 

バー“ MagiCULL Sunday ”を開始してから、何故か、演技中に使っている道具を触られることが大変多くなりました。

 

変化したばかりのトランプ、テーブルに置かれたコイン、カップから出てきたマフィン、マシュマロ・・・・ 特に触っていいと言っていないのですが、平気でどんどんいじくられます(笑)

 

 

演技中に道具を触れられる、ということは、芝居中に客が舞台に上がってきたり、落語中に大声で突っ込んできたりされるのと同じほど、芸としてみると異常な事態です。

 

 

弊害ポイントを考えてみましょう。

 

・演技の流れが止まる。  マジックにはストーリーも段取りもありますので、流れを元に戻すのに時間が掛かり、その分テンポが乱れます。

 

・リズムが乱れる。 マジックには、演技のリズムを使って騙しのテクニックを実行する場合があり、リズムを崩されると、その立て直しからしないと、テクニックが成立しません。

 

・他のお客さんの集中力が切れる。 一般の方は、1枚トランプを改めるだけでも結構手間取るもの。そうこうしているうちに周りで見ているお客さんが雑談を始めたりして、注意を元に戻すのにかなり手間取る。

 

・種がバレる。 当然、触ってもらっては困るものがあります。ばれないにしても、実行不能となることもあります。

 

 

かくのごとく、色々な弊害はあるのです。

 

そして、若い頃は、これに対して「演技の邪魔をされた」と感じ、阻止することばかり考えていました。 そして、自信がついてくると、触られなくなったので、「演技に威厳がでたからだ」などと、悦に入っていました。

 

しかし、現在私は甘んじて触ってもらっているのです。

 

触られることを前提に演技していますので、触ってもらってはいけないものは、色々な方法で、自然に完全にガードしており、お客さんが自由に触れるものには何の種もありません。 僕の作品の多くは、最終的にクリーンな状態になるものが多いのも、この目的です。

 

なぜ、演技がかき乱されることがわかっていて、あえて触られることを拒絶しないかというと、弊害以上のメリットがあると考えているからです。

 

それは・・・

 

・お客さんが自由に触って改めることで、より不思議さが強まる。 これは、舞台やテレビのマジックで「あー、あそこで改めてみたい」という欲求を実現してあげる事にもなります。

 

・触ることで、演技に一体感、親密度が増し、盛り上がる。 これはどんなライブより、演技者との密接感は強いはず。 マシュマロの話でも書きましたが、この奇術に関しては、出たものをすぐに食べたり飲んだりすらします。

 

 

ただ、下手に行うと、非常にまずいことも起こります。即ち、不用意にバレてしまいしらけたり、お客さんの改めのため演技が冗長になってしまったり・・・ そうならぬよう、ある程度のところで切り上げてもらう必要はあります。

 

また、お客さんは図に乗るので、エスカレートして何でも触ろうとしてきます。しかし、決してイラついた気持ちを悟られてはいけません。勿論、演技としてイラついたり怒る振りをするのは良いのですが、ホントのイラつきは、観客にとって大きなストレスです。 ですが、これも、大体同じようなところで触られるので、心に余裕が持て、対処できるものです。

 

 

昔は、「自分の愛するマジックを邪魔された」などと傲慢な考えが先走っていたものですが、最近は「愛するマジックを、本当に興味を持ってくれているからこそ、そして、僕がそんなことで怒ったりするような人物じゃないと信じていてくれるからこそ、道具を許可なく触りだしてくれ、心底楽しんでくれているんだ」と思えるようになっています。 偉いなぁ・・・俺。

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2013年4月 5日 (金)

『恋人にマジックは・・・』

趣味にしている者にとって、マジックはこの上ない魅力を振りまいてくれる存在である。 

一般の方が想像すると「人をびっくりさせて人気者になれる」程度の楽しみしか思いつかないかもしれない。勿論、それは非常に大きい。しかし、その他にも様々な喜びを与えてくれる。 

まず、『タネを知り、その素晴らしいアイディアに感動する喜び』。基本的にはこれはマジシャン限定の楽しみなのだが、たまにTVで無遠慮にばらまかれることがある。 しかし、これとは質が違う。一緒にしてもらっちゃ困る。 

即ち、TVのそれは「観たマジックのタネを教えてもらいスッキリする」程度のものだが、マジシャンの場合・・・  解説が書かれた書籍で現象を想像し、その方法を読み、実際道具を手にとって練習し、ある程度できるようになる。その時点で「なぜ、このようにするのが効果的なのか?」ということを考え、やっとその作品の真意が理解でき、感動する  ・・・といった流れで感じる喜びである。 

知識が増えると、原案に対するヴァリエーションが読んでも、その進化過程が理解でき、深く味わうことが出来る。 そのため、正しい解説には、出典が明らかにされており、原案を確かめることが出来る。

練習し習得していく段階を楽しむ、ということもある。例え演じることがなくとも、上達を実感することは幸せを感じるものである。

道具を集める楽しみというものもある。これも、実際使うことがない道具であっても、である。

同好の士が集まり、見せ合い、会話することも至上の喜びである。

これらのことは、マジックに限らず、釣りでも、切手蒐集、鉄道模型であっても同じようなことはどの世界にもある。しかし、マジックではこの『幅』が大きいと思う。 

と言うのは、マジックの分野がクロース・アップからイリュージョンまで様々で、スタイルもストリート、キッド・ショー、コメディー、ビザールスタイル、企業の展示会におけるトレードショーetc.と多種多様。素材もカードコイン、鳩から自由の女神までなんでもあり。 

しかも、マジックの趣味というものは、マジックを練習して演じるだけにとどまらず、練習しないが知識だけという人も、道具を集めるだけの人も、ポスターだけ集めている人すらいる。かと言って、皆仲間として認識されている。

そして、プロとアマチュアの関係性。 一概にプロが上手でアマチュアが劣っているなどということはなく、逆に時間がある分アマチュアにすごい人も多く、新しい発見などは圧倒的にアマチュアサイドからもたらされるため、垣根が低く、交流も盛んである。 

これほど自由度の広い趣味も少ない。

そして、観客あっての芸能。 練習して習得したと思っても、客の前では100%の実力も出ず、出たとしても受けないこともあり、受けるようになっても、更に上の演技を観て刺激を受けたり、改良の余地に気付いたり・・最終到達地点というものがない。 

  

しかも、世界中から毎日沢山の新情報、新発見がもたらされ、興味は尽きないのである。

これほど魅力のある世界であり、ある意味 『元々魅力的な上、様々に違った顔を次々に見せ、捕まえたと思ってもスルリと手からすり抜けていってしまう』 という『性質(たち)の悪い 峰不二子』のような存在なのだ。 

そして、深くマジックに関わってしまっている多くの男性は峰不二子の魅力から逃れることはまず出来ない。

だから、恋人の前でマジックを見せたがらない人が多い。 

それは、恋人のことより、数段『峰不二子が好きなこと』がバレるからである。

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2013年3月28日 (木)

『錯覚』

心理学の言葉に『パレイドリア』というのがある。これは錯覚の一種で、『雲がソフトクリームの形に見える』な~んていうあれである。 

この錯覚は、かなり心理的な影響が大きく、ソフトクリームが好きな人には、そう見えやすい。ビビってる人には、ススキが幽霊に見えやすい。そして、街中で他人が恋人に見えてしまう。 

 僕がマジックを始めた頃は、マジック関連の情報が今と比べると非常に少なかった。 金澤には『東陽マジック』というショップがあり、デパートに出店もあったので、恵まれている方だったが、それでも、レクチャービデオもほとんどなく、書籍も少なかったので、いつも情報を求め彷徨っていた。

そうすると、色んなものがマジック関連のものに見えてくるのである。 書店の趣味コーナーに少しマジック関係の本があったが、5,6冊あれば良い方で、しかも殆どは初心者向け子供向けのものばかり。 それ以外の書架に獲物がないか探っていると、題名の『手芸』を『手品』と勘違いするし、『とっくり』は『トリック』に見えてくる。 なんでも、好きなものに結びつけて錯覚が起きるのである。

 『コンプレックス(感情複合体)』という概念があるが、一般の人は主に『劣等コンプレックス』のことだけを問題にしている。すなわち、「劣等感を感じてるものと、少しでも共通部分があると、意味もなくそれに対しても劣等感を感じる」というもの。 

これには劣等~以外にも、色々な感情とコンプレックスを形成する。ロリータコンプレックスやマザーコンプレックスは有名だが、性的なもの以外でも、憎しみのコンプレックスはよく起こる。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」っていうあれである。 

当然、ネガティブなコンプレックスだけでなく、『好き』という感情にもコンプレックスは成立する。これがまた、こまった『錯覚』を生む。 

若いマジシャンに対して『マジックで受けても、もてているわけじゃない』という格言がある。 受けるということは、お客さんは演技内容に好感を持っているわけだが、その場合、「マジックの現象に好感を持っている場合」と、「演じているマジシャンごと好感を持っている場合」がある、 

プロならば後者でなくてはならないのだが、アマチュアがマジックを見せる場合、『面白いパズルの提示』程度のスタンスの場合が多く、受けても、それは「パズル、面白~い」的な盛り上がりだけで、その意識にマジシャンが全く介在していないことすら多い。

考えてみると、これはマジックにだけ起こる現象で、例えば宴会の一発芸のようなことをして見せても、そこには強烈に演じた人のキャラクターというものがアピールされる。 

しかし、若い(もてたくてやってる)マジシャンは、持っていったパズルに好感を持たれてるのに、自分に好感を抱かれていると勘違いしがちなのである。とても危険である。 

しかも、上記の『好き好きコンプレックス』が加わる。 要するに・・・自分が愛して止まない『マジック』を好きになってくれてる彼女は、マジックと同様に素晴らしい存在であり、僕がマジックを好きなのと同様に、僕はマジック好きな彼女のことも大好き・・・という、錯覚に満ち満ちた感情が若き僕・・・いや、若き、とあるマジシャンにあふれるのである。

ホント、危ない。 マジックで騙すことなんて比じゃない位、この罠は危険で強力である。 ここを読んでくれている、若いマジシャンの皆さん、今すぐに目を覚ましなさい!!

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2013年2月 7日 (木)

『ツッコミと返し』

クロースアップ・マジックを披露し、ウケルと、その後色々な質問を受ける。ウケナイと、誰も話しかけては来ない。 この観客との心理的な距離の近さがクロースアップの身上でもあり、その後の観客の態度でウケタかどうか、それはもう如実すぎるほどにわかる点は、厳しくもあり有難い点でもある。

クロースアップは近距離で演じるため、演技途中でも色々と突っ込みを受ける。勿論マジシャンのキャラクターによるわけで、素晴らしすぎると誰も突っ込まないだろうし、つまらなさ過ぎると今度は見向きもされない。 時々突っ込まれる程度のスタンスが、僕には丁度良い観客との関係性だと思っている。

しかし、悲しいかな、一般客はツッコミ芸人ではないので、大体同じような思考をするもので、パターンが決まっている。それを逆手にとって、「あるツッコミが来たら、こう返す」という準備をしている。それはもう反射のようになっていて、ツッコミがスイッチとなり、大して考えずに切り返す。柔道の受身のようなもの。 それと違うのは、一定期間で自分の返しに飽きて、言わなくなったり、もっと気に入った返しを見つけて交代することもある。

非常によくあるツッコミ(というか、素直な質問)は、1つのマジックが終わると、結構大きな声で「え~、どうやってるの?」。 それに対してはこう返している。 (一旦、聞き流す振りをして黙る。黙ることで他の客の注意が集まる。ここで・・・)「あ、お客様、その質問には答えられないシステムになっているんですよ。」 

これを言うお客さんは、癖になってるので、次のマジックのあとでも、ついつい同じことを言ってしまう。そうしたらすぐに「さっきから、チョイチョイその質問をされますが、システムを思い出してくださいね。」と返す。 

次に言った時は「システム」と言っただけで、ある種の『ランニング・ギャグ』が成立するのか笑いが取れる。くすぐられているお客さんにも、それほど嫌な感情は持たれない。

また、バー・マジックをしていた頃、よく「いつからマジックしてるんですか?」と聞かれた。 これは『世界の マジシャンへの質問 ベスト3』に入るもの。 兎に角、初めての人によく聞かれる。 なぜこの点がそんなに気になるのか、はたまた社交辞令なのか? いや、社交辞令としてなら、お世辞要素があって然りだから違う。 多分、感心してくれて、これだけの技を身につけるのにどれほどの期間が掛かるのかを知りたくて聞いてくれているのだろう。

大学時代、この質問に対してこう答えていた。 「あなたに喜んでもらおうと思って、3日前から必死に練習しました。」 勿論女性客に対して。 今思い出しても顔が真っ赤になるのを感じる。

さて、バーでは・・・

CULL「これくらいの時代からです。」 と言って、親指と人差し指で3cmほどの隙間を作って見せる。

ママ「今は、これくらいだけどね。」 と言って、両手で20cm位の間隔を見せる。

このコンビネーションで、年齢のことではなく、ある部分の長さのことを言っていることがわかる、という考え落ちである。 完璧な下ネタである。バーだから良いのだ。 こんなことやってると、ママとの間柄を疑われる。でも、芸人だから、受ければ良いのだ。

「お金を増やしてみろ」という無茶苦茶な要求もよくされる。 平気でこう言う人がいるが、冷静に考えると他人にいきなり「金くれ!」と言っているのと同じである。 これに対してはTommy Wonder“Splitting the Profit”という作品を使っている。

このマジックは非常に優れたものだが、かなり変わった現象である。

『借りた1枚の1000円札を4つ折りにして、オマジナイを掛けると2枚の1000円になる。2枚を(斜めに交差するように)重ねて渡し、客が広げると1枚しかない。』

これは、「お金を増やせ」という要求に即した現象でもあり、増やしたら増やしたで、必ず「元本は自分のものだから、増えた利息も自分のもの。全部くれ!」と貪欲に図に乗ってくるので、お望み通り2枚を渡すことができる。しかし、魔法のように客の手の中で1枚に戻る。 

Tommy自身はこんな演出でやってないかも知れないが、実に『客の欲求と、現象、マジシャンの思惑』が合致した『返し』となるのだ。 ただ、これをやると、大部分のお客が実に不満そうになることだけが難点なのだが・・・・・

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2013年2月 5日 (火)

『指が乾く』

中学時代から本格的にマジックにのめり込み、当時は今と違って、会う人会う人、隙あらばマジックを見せようと常時手ぐすねを引いていた。今思うに、恐ろしいことだ・・・ 

そんな中、うちにちょくちょく愚痴を垂れ流しに来る遠縁のおばあちゃんがいた。彼女は元教師であり老女と言えどもカードマジックのプロット程度は理解できる人なので、1つ披露してやろうとカードを広げて「1枚抜いてください」と言った。 そこで事件は起こった。 

彼女は、丹念に右手の親指と人差し指をベロベロと舐めて、指を思う様湿らせた後、(今では使い捨てと思っているのだが、中学生としては大切な大切な)トランプに触れようとしたのである。 マジックに使うカードは紙製なので、濡らすと痛む・・・ということ以上に『生理的に無理』ですわなぁ(涙)

さて、そんな『トラウマ話』もあるのだが・・・。 実際のところ、40歳を過ぎたあたりから急激に指先の湿り気がなくなり、そうなってみて初めてわかるが、カードもコインも、指の適度な摩擦あってのテクニック、という面がかなり大きい。 そんなわけで、まともにできなくなった技法がかなり増えていく。 そこで、おしぼりなどが手元にあると、それで指を湿らせるのだが、ない場合はグラスの壁面の露。それもなければ、ついつい舐めてしまう。 明からさまに舐めると嫌悪感を生むので、鼻先を触る動作の影で舐める、なぁんてテクニックを使ってはいるが、結局これでは上述のおばあちゃんといっしょ(涙) 

Photo かと言って、どうしても使わなくてはいけないので、ほぼ常時『滑り止め剤』を使用するようになった。 普段使っているのはコクヨの『メクリーム』という商品だが、このまま使うと『単なる事務作業』に見えるので、これを100年ほど前のヨーロッパアンティークの『嗅ぎたばこ』入れに詰め替えて使っている。 

年をとると、色々と人に不快感を与えることが増えてしまうことを、いつも自覚して、『身奇麗な年寄り』を目指したいものだ。

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